2 患側上肢の機能的回復の予測について

機能的帰結についての正確な予測を行う能力はとくに重要であり,良質の医学的リハビリテーション実践の基礎を形成する.

Twitchell(1951)は脳卒中患者の患側上肢の運動回復の順序を調べ,2週間以内に固有感覚促通や近位牽引反応が回復することは,随意運動回復にとって,良好な予後を告げる徴候であると報告した.その後,片麻痔患者の運動回復についての研究の多くは、運動学的変化あるいは運動課題パフォーマンスによって評価される回復パターンの規則性に焦点を当てて,患者の状態を複数の段階に分類したり,特定の基準にしたがってスコアを与えたりしている(Brunnstrom1970;Moriyama1987).さらに,脳卒中後.特定の時期における運動機能のレベルを予測するための臨床的あるいは人口学的変数を決定することも試みられている(Gresham1986:Jongbloed1986;Nakamuraetal.1990).初期評価時における麻痔の程度は患側上肢の機能的帰結に有意な関連性を示すことが複数の研究によって確認された(Bard et al.1965:Wadeetal.1983:01sen1990:Duncanetal.1994).最近になって,Katraketal.(1998)は,脳卒の経過中.早期に扇がすくめられる,あるいは腕の外転ができると,後になって手の動きや機能はよくなるという予測ができること,また脳卒中後,平均11日でわずかでも手指に動きがあれば,これも手の運動や機能がよくなることの予測因子であると報告している.

Jongbloed(1986)は,脳卒中後の機能予測に関する研究を批判的に概説し.将来の脳卒中後の機能予測についての研究は,あらかじめ定めた特定の時期に機能を測定すべきと主張した.機能回復に関するもうひとつの重要な論点は,標準化された尺度を用いて機能的状態を定量的に予測することに関連している.以下の研究は,これらの調査の線上に位置づけられる.

投稿日:2000年3月31日 更新日:

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