[9]短下肢装具の重心動揺と歩行能力ヘの影響(Mojicaetal. 1988. Nakamura1991)

これまでの研究で,片麻痔患者では立位姿勢における重心動揺(SP)あるいはバランス不安定性が大きいほど,歩行能力は劣ることが明らかにされてきた(Dettmannetal。1987。中村・他1988)。Bohannonetal。(1984)とBohannon(1987)は。20-79歳の健常者および脳卒中患者に,開眼あるいは開眼で、両足をそろえて立つ時のバランス保持能力を測定し、バランスの機能障害は年齢と歩行能力に密接に関係する、すなわちバランス安定性は年齢と共に低下するし,バランス安定性が向上すると歩行能力も改善すると報告した。脳卒中患者の半球病変が姿勢制御とバランス安定性,歩行の障害をもたらし,また立位姿勢の不安定性をもたらしている。末梢では,患側下肢の筋力低下と足関節の内外方向の不安定性が重心動揺を増加させ,歩行を妨げている(Perry1969。Nakamura et al。1985,Lehmallnetal。1987。中村・他1988b)。短下肢装具(AFO)の使用によって、片麻痔患者の足部と足関節の安定性は向上し、歩行は改善する(Lehmann1979)。

SPとMWSに対するAFOの効果を片麻痔患者8名(右片麻痺5名,左片麻痔3名)を被験者として検討した。患者の年齢は46-66嵐 TSOは7-32遇(平均:20。7週)であった。患側下肢には軽度ないし中等度の筋緊張元進があったが、他動的関節可動域は正常範囲であった。患者は独立して立つことができ、平均して7。5週(範囲:2日-18週)にわたってプラスティック製AFOを使用していた。AFOを装着(AFO(+))あるいは装着しない(AFO(-))で、患者は床反力計の上で、開眼で前方に視線を固定し,両上肢は体幹に添え,両足をそろえた立位姿勢を保持するように指示された。同一姿勢を10秒以上保持してもらい,その間に測定を行った。10m距離をAFO(+)あるいはAFO(-)で,できるだけはやく歩くように指示し,MWSを計測した。

図14は右片麻痔患者のAFO(-)とAFO(+)時のSPである。AFO(-)では。両足圧中心位置(CFP)は左前方。非患側に片寄っている。AFO(+)では、CFPは前方によっているが,左右方向では中心に近づいている。表15はAFO(+)とAFO(-)時のCPF,SPの平均値である。AFO(L)と比べて,AFO(+)ではCFP左右方向が減少している(p<0。05)。しかし、前後方向では有意差がない。CFPが非患側に寄っていることは,非患側で体重の多くを支えていることを意味する。AFOを装着することで,足関節の不安定性は代償され。立位姿勢の安定性は改善し,患側への体重移動が可能となった。AFO(-)とAFO(+)では,SPに有意善がある(p<0。01)。AFO(+)ではSPは減少し,立位バランスも改善する。表16は歩行要素の平均値である。各要素はAFO(+)によって改善している(p<0。01)。AFOは足関節の左右方向の不安定性を代償し,足下垂を防止し,遊脚相における股関節屈曲を少なくさせる。各変数について,AFO(+)/AFO(-)の比を求めた。SP比はMWS,WR。SLのいずれの比とも相関を示していない。AFO(+)によるSP減少はいずれの歩行要素の利得とも関連していない。これは脳卒中によるバランスと歩行の障害が中枢性および末梢性,両者の機構の障害によることを示している。バランスと歩行の障害に中枢性あるいは末梢性のいずれの要因が関与しているかは,各患者によって異なっている。

投稿日:2000年3月31日 更新日:

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